寒さに負けて引きこもっこり見た作品もっさり。

孫文の義士団』
義士団構成メンバーそれぞれを丹念に描いたのちに辛亥革命100周年を記念するドニーさんのフルスロットル障害物競走などで祝砲をあげる記念碑的作品。確かにすごいときはすんごいんだけど、敵の待ち受け方が思いっきりセットっぽくてちょっと緊張感に欠けた。

メタルヘッド
JGLが半裸のメタル野郎というインパクトにかまけていたら、説明セリフの多さに不用意な予測ができちゃって、後半はその確認作業という鑑賞になって微妙。ナタリー・ポートマンの冴えない眼鏡姿にまで何やらあるだとか、映像で物語ることに不慣れなカンジがして居心地悪くなる。つまらないわけじゃないんだけどね。

『ロスト・アイズ』
主人公と共にミステリーへと誘導される序盤、カメラを通した視点で主人公と同じように不安にかられる中盤、すべてが明らかにされて主人公に共感する終盤、といった「目が見えない」ことの流用がとてもおもしろい。細部を見渡すと言葉に詰まるところもあるけれど、あいつは一体・・・という余韻も残してくれて良かった。

アレクサンドリア
アザーズ』('01)の発想の転換や『海を飛ぶ夢』('04)の物語への着眼点など、アメナーバル監督は逆転の発想的なことをするのが好きなのかなと思った。群衆入り乱れるシーンを蟻んこのように描写してみたりして徹底してる。見たうちではベストアクトのレイチェル・ワイズ

ソウル・キッチン
ファティ・アキン監督の映画をはじめて見たよ。おもしろかった〜。登場人物の物事への向き合い方、兄弟の物語というモチーフなどなどツボをつかれたよ。ダメなやつらを見捨てない!っていうあふれるポジティブにお腹いっぱい。映画にでてるひとみんなノーギャラなんじゃないの??と思うほど愉快で心躍りました。

『トゥー・ラバーズ』
DVDスルー作品。タイトルがどんな意味かと思ったら「ふたつの恋に悩む二人」ということで、え?ふた?え?は?と、この季節にはボクなんかが冗談でも見ちゃいけない類のものでありました。ドストエフスキーのなんたらを扱っているそうで画づくりは落ち着いたカンジ。グウィネス・パルトロワのおっぱいが不思議なカタチ。

『水曜日のエミリア
連れ子と継母っていうフクザツな関係のわりには案外コミュニケーションが取れている親子にチョット感情移入しづらい。映画がはじまる前にいくつか問題をクリアしちゃってる。結局、子どもの発言が無神経や無邪気からくるものなのか強い子として描いているのかもよくわからなかった。不思議。ナタポーの振り幅ある演技にいつ黒鳥に変身するのかとハラハラしました。

『アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ』
なんでもないシーンに音楽と画面の動きで緊張感を与える前半と、溜め込んだ暴力をひとりずつに倍返ししていく後半。主人公の復讐へのモチベーションがすごくて、わざわざ魚を叩き殺していたことをチェックするだとか、そこまですると彼女の存在自体について考えさせられるけど、そこへくると作家という設定やイメージとして全然作家っぽくない容姿などが引っかかってアレレ。

『アジャストメント』
お気に入り。幼なじみが参謀を勤める坊ちゃん議員のマット・デイモンが、一目惚れした女性への想いだけでどっきり企画か!とまで思ってしまう妨害を「うん!話はわかった!それで、彼女はどこ?」と、よくわからない表情をしながら突っ走る王子様映画。嘘くさい奴らはみんなぶん殴ります。エミリー・ブラントもドレス姿のお姫様で素敵でした。

『アンノウン』
同監督作品の『エスター』('09)と同様に、映画の表情が一変する瞬間のあるおもしろい映画。現実感の揺らぎをカメラをゆりかごのように動かすことで表現していて、それはもうしつこいくらいなんだけど、家族全員を惨殺されたという不幸盛り沢山のダイアン・クルーガーのめちゃくちゃな強さにはチョットどう反応していいのかわからなくてヘンに揺らめいたよ。