謎解きはびっくりフジツボのあとで『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

スティーブン・スピルバーグ監督最新作。

満足度的には微妙でした。セリフの節々に「没入感」という言葉があったと思うんですが、どうも置いてけぼりを食らったカンジです。全然嫌いな作品じゃないし、続編があるなら是非見たいのですが何でノレなかったのかを整理すると・・・。主人公タンタンがポンポンと謎を解いていっちゃったり、「待って!尾行されてます!」とかダイイングメッセージにスグに気付いたりとか、あと、家に訪ねてきた男が「タンタン!よく聞け!」のあとの言葉を濁したりして、どこか“会話”っていうカンジじゃない「決まったセリフ」を喋っているカンジなどがあることから、脚本をつとめたエドガー・ライトによる“スコピル的テンポ”と、スピルバーグ&ピージャクによるスペクタクルの食い合わせが悪いんじゃないかと。

スコット・ピルグリム〜』('11)の映像がおもしろいのは、普段目にしている光景=現実の世界を舞台に「人間がコインになっちゃう」だとかのゲーム演出がなされているところではありますが、これってアイデア自体は新しくも何ともなくて、技術が追い付いて実写でやってるからイイんですよね。ただ、その映像だけでは新作映画としてはどうかってのがあるので、そこに漫画のページをパッパッパッとめくるようなテンポと「決まったセリフ」を喋るゲーム的キャラクター演出を加えた、と。『タンタンの冒険』は誰が見ても終盤の超絶長回しチェイスの場面を見所として挙げると思いますが、もしかして普通にカット割って普通にアップとロングやってくれたほうがスゴかったんじゃないか?というのは言い過ぎかもですが、とにかく「あ〜・・・」と思いながら見ちゃってましたね。

スピルバーグほどの映画人、というか映像作家と肩を並べるとしたら、パッと思いついた凄い人っていうイメージに過ぎないんですが、宮崎駿ジェームズ・キャメロンの二人を挙げたいです。もし、3人のフィギュアを持っていたら、横一列に並べたい。というのは、原点に立ち返った『崖の上のポニョ』('08)と、未開の地を進む『アバター』('09)の二作と、この『タンタンの冒険』はもしかして同じような次元にいるんじゃないか?ってことを思うんですね。まぁ、これは何となくですよ何となく。うん。というわけで、いろいろ思うことはありましたが、劇場で見て良かったです。目疲れたけど。合言葉はたぶん「壁にぶち当たったらブッ壊して前に進めっ!」これなんでしょう。おわり。