くらえ!台パン!『リアル・スティール』


ゲーム脳」という言葉は医学的にはデタラメらしくって、まぁ、もちろんよくはわかんないけど、ゲームばっかりやってるやつは認知症/痴呆症の状態と同じ脳波をしているってコトを言いたいらしいんです。ボクが「ゲーム脳」というコトバをあくまでオフザケ的なおちょくり用語として使う場合は、キレやすい/集中力がないってことの他にいわゆるこう「ボヤッ」とした状態を差して使っていこうと思っていて、わかりやすい例えだと、ボクが今年のベストワンにした『スコット・ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団』('11)の主人公スコット。カレに対してなら使っていい気がします。Lではじまる単語が英語圏のクセにレズビアン?しか浮かんでこないなんて「天然」という言葉だけじゃ印象付けできない何か別のオカシさを感じますからね。

ゲーム脳の著書とかは一切キョーミないから知らないけど、ちかごろの若いモンは〜的な批判が高じてあーだこーだ言っている本なんでしょうたぶんきっとおそらく。で、唐突に『リアル・スティール』。映画の舞台が2020年ってんでどんなもんかと思ったらば、冒頭から田園風景にカントリーという牧歌的な雰囲気で、お話自体も「技術の進歩で肉体を捨てた人類がその“身体性”を取り戻す」というオーソドックスな枠に“ボクシング”を当てはめて、それを普遍的な物語である“親子の絆の回復”でふくらませていく何とも古風な映画でありました。

おもしろいのはロボット映画にありがちな「意志を持つ」という描写がないことで、ロボットたちは完全に鉄の物体、価値にしてもせいぜい2ドル50セントくらいの無機質な印象を与えてくれること。これを徹底したおかげで、ラストバトルが『ロッキー4/炎の友情』('85)のドラゴロッキー状態よろしく「テクノロジーVS汗水流した努力」というわかりやすい図式に移行できたのだと思う。つまりゲーム脳VSマッチョ。で、それはそれで燃える。もちろん燃えることは燃える。ですがね・・・。Wiiなんちゃらとかの体を動かす系のゲームが大大大っ嫌いなボクとしてはですね!いやわかるんですよ!ジムに行く時間が無いからその利便性を追求して云々のことは!でもね!ゲームを健康のためにつくるな!楽しみながらエクササイズっ♪とか言う奴らにはなんか他にあるだろー!?そいつらには汗水流して努力させろよ!ヘンなモノ与えるなバカタレが!ゲームは冷暖房きかせた暗闇の住人のためにあるべきだ!モーションキャプチャーだぁ?なんだそのチートは!ふざけるな!漢ならレバーでコマンド入力/根性入力だろうが!アイツの「台パン」の気持ちわかるよボクには!だから判定で勝ってくれてよかったよ!救われたよボクは!この映画の先のことは知らんけど!知らんけども!ったく!ゲーム脳だっていいじゃんか!なぁ!?メリークリスマス!!