また三本『エンディングノート』&『ロボジー』&『ヒミズ』


エンディングノート
仕事の計画だとか人生設計だとかの「段取り」をとても気にする人物であるお父さんがまずとても魅力的で、ああこの人はイイ人だなと一発で思わせてもらえたのがよかったです。奥さんと出会って結婚して長男・長女をつくってヨシこれにて我が人生一区切りというつもりの「段取り」からズレて生まれてきた次女が、お父さんの最後の計画である「エンディングノート」のことを手助けするという運命的な物語もいいし、撮影・編集・監督をつとめた次女・麻美さんが「映画=お父さんの人柄」のために会社の接待ゴルフの様子やタクシーでの様子をクロスさせるなど不思議なセンスの持ち主なのもよかったです。冒頭の「私事ではありますが・・・」もホームビデオみたいなものを映画館にかけてスミマセンみたいなエクスキューズにきこえておもしろかった。と、まぁ、これらを全部泣きながら考える作品でした。



『ロボジー
今までハズレがなかったというかむしろ邦画ならその年を代表する作品ばかりつくってきた矢口監督でしたが、今回は「ロボットの中におじいちゃん」という突飛な設定にもかかわらず、当たり障りのない普通かなぁくらいの作品だったです。でも、この作品で好きなところは、しょうもない嘘から始まってしょうもない展開を繰り広げたあとにくるしょうもないオチが、見終わったあとだと何故だか大切に思えるっていう軽やかさでした。今、日本はいろいろあって窮屈な状態ですが、このくらいの嘘を暴いたり大問題にするようなことに正しさはあっても気持ちよさってのはなくて、老人ホームやオタク描写、そして主人公三人組の人物像などが最大公約数を描いただけでなんの見所もない感じでしたが、この映画は一点「嘘」だというのを大切にしていてそこらへんが気持ちよかったですね。



ヒミズ
園子温監督最新作。震災後の映画としては真新しい描写やセリフはなかったように思います。今まで、お前らのいうことは全部嘘っぱちだ!みたいなアンダーグラウンド的な作品をつくりつづけてきた園監督が、『冷たい熱帯魚』(2011)や『恋の罪』(2011)で日の目を浴びてから最初に撮る作品が「ヒミズ=日不見」だという、まぁ、浅はかだとは思うけどおもしろいことがあってそれはいいんですけれど、原作である漫画が2001年から2003年に連載されたものということでボクは読んでないから今からいうことは申し訳ない気持ちで言うんだけど価値観が「古い」んですよ。「子供と大人」っていう二分化がされた世界はもういいです。がんばれがんばれ言ってるのもうるさいだけだし、親からいらない子宣言をされた中学生があれこれ喋くり倒してるのもうるさくてイヤ。とにかく、今は子供も大人もないだろ違うだろと思っちゃいました。ちょっと意図つかめない。園子温ワールドから出てきたようなひとたちはみんな何言ってるんだかわかんない。はぁ。おわり。