ジョナ・ヒル・イズ・マイ・ベストフレンド『僕の大切な人と、そのクソガキ』(2010)


友人として叱ったり諭したりしてくれる人は、貴重だと思う。人に「えっ・・・」と思われることは恥ずかしいことだけれど、その都度、何か嫌な思いを味わわないと、自分のなかにあるその原因に気付きにくいし、気付いていたとしても、それを認めることはとてもむずかしい。認めているよわかってるよなどと自分に言い聞かせるように意識してしまうと始末が悪く、原因を理解しないまま次第に諦観するようになって、同じような失敗を繰り返すか、もしくは、失敗すらしない/何もしない、という状況に自分で自分を追い込むことになる。少なくとも、ボク自身はそうだった。

そういったことを貴重な人間関係によって学べた人は幸運だと思うけど、世の中、全員に、幸運は訪れないよね。何かの欠点/個性を理由に無視されたりイジメられたりとかは論外だけれど、往々にして起きがちなのが、馴れ合いの関係というか「なぁなぁ」の付き合い方をする、そして、陰でそしる。厄介なのはこれが家族間で起きた場合だ。相手を想うあまり叱ったり諭したりできないことが、優しさではないということには、自分ひとりだとなかなか気付けないし、認めづらい。

『ボクの大切な人と、そのクソガキ』はそういった感情を踏まえていて、描かれる物語はゆえに切実で、提示されるテーマには「自分は今までどう振舞っていたんだろう」と考えさせられる。もし、ボクがボクのような人に出会ったときには、この映画を思い出すことになるんだろう。それまでもそれからも大切にしたいと思う。大変気に入ることになった大傑作。タランティーノが2010年の年間ベストに挙げたのも納得でありました。おわり。