なんというバニシュデス『リセット』

マシニスト』の監督の最新作。よく、映画は何を語るかではなくどう語るかだという意見をききますが、これは本当にそうだなと思うもったいないお化けバァーな作品でした。街中の明かりが突然消えて人々が服だけをファサッと残して消失していくディストピアホラーの皮を被ったメタ構造映画。

これ、冒頭のシーンがスクリーンに光をあてる映写機なので、映画を語る映画なんですよね。主役のヘイデン・クリステンセンに『スター・ウォーズ』シリーズでアナキン役を2作やったことからかルークという役名を与えたり、ラジー賞を取りまくった彼のセリフに「僕が今ここに存在してるのは、僕の執念だ」っていうセリフがあったりで、さらにニュースキャスターという設定がなされていることも『スター・ウォーズ2&3』の間に『ニュースの天才』なる珍作に出演していることから、明らかに俳優ヘイデン・クリステンセンとして彼を物語ろうとしているんですね。

他にも赤ちゃんを探す女性にローズマリーという名前があったりで、映画についての色々な言及がなされている映画だったのですが、それらを踏まえると、ひとびとが「闇に飲まれると消える」という描写は物凄くえげつないです。この映画は登場するすべての人物が映画の“内(なか)”を生きる人物なので、彼らが「僕は私はまだここに存在しているんだ」と意識することで、闇に飲まれても生き残ろうとする姿は、とても痛ましい。

映写機からの光や街から消えていく光は人々から浴びる「脚光」もしくは「スポットライト」のメタファーで、彼らは「消えていく存在」だったんですね。消える直前に幻視するものが過去の栄光というのが本当にもう・・・。生き残る者の選択もこれまたえげつないですが筋の通ったものでありましたね。はい。ただ、いろいろ思うことはありましたが、その語り口/描き方がワンパターンすぎてあまり楽しくはなかったwそれでも、この、行き詰った末にでたアイデア感というのはとても好きなカンジなので、忘れないうちに感想を書いておくのでした。おわり。